学校にはギリギリ間に合った。
授業が終わって、道場で打ち込みをしている最中、悠が修二に昨日の大会のことを聞いてきた。
「そういえば結局、どこが優勝したの?」
「言ってなかったか?翔星だよ。私学大会2連覇。」
「マジ?やっぱすごいな〜」
「しかも、全員2年だぜ。」
「そこまでいくともう恐いよ。」
「あぁ。」
「あっ、次ラスト。」
「投げるぞ。」
「いいよ。」
ザッ、シュッ!!
バァン!!
畳に受け身をとった音。
「修二、今のスゲェよ。なんかここ最近の背負い投げの中じゃダントツ。」
「最近って?」
「ん〜と、中学んとき以来。」
こういう時、悠が正直なやつで良かったと思う。
そうか。俺の背負い投げ、高校入ってからうまくなってなかったのか。
「ありがとな。」
「えっ?なにが?」
「聞かなくていいんだよ!」
そのまま打ち込みをし、寝技を含めた立ち技の乱取りをした。
時間はずっと止まっていた。
あのときから。
でも…今はわかる。
俺の中で止まっていた時間はゆっくりとだが動き出しているんだ。
修二は自分の中でのことを思い描きながら少しずつ、進んでいく。