参入志願者逹5
アヤは、その美貌で数々の男を虜にしてきた。
一昔前までは、信じられない額を貢いでくる男などもいた。
しかしこう不景気な世の中では、アラフォーのアヤに貢いでくれる男はそういない。
ダメダメ、若さは気力で保つものよ。弱気はダメ。
アヤは、たゆまぬ努力と気力で昔と変わらない美貌を保っていた。
完璧なプロポーションと魅力的な微笑み。
バラエティー番組の収録のため、アヤは控え室で考え事をしていた。
ドアがノックされる。
アヤは思考を止め一瞬で社交モードへと切り替える。
「どうぞ」と優雅に答える。
入って来たのはグラビアアイドルのアキだった。
「今日はよろしくお願いします。」
アキは深々とお辞儀をして挨拶をした。
アヤはアキを見つめる。
心の中で、ふうん…なるほどと思う。
さすがに三十歳過ぎてグラビア界のトップクラスにいるだけのことはある。
アキの仕草は完璧だった。
おそらく彼女も自分と同じように努力をしているのだろう。
アヤはアキが気に入った。
あと一人…。アヤは心の中でつぶやいた。