我々五人の前に警察官がやって来た。
「やぁ君たち、君たちは岸田純平君のお友達かね?」
「あぁそうだけど。」
と、調子乗りの勝沼が食ってかかるように警察官を睨んで言った。
「いやいや君、一番怪しいね。お名前は?」
と聞くと、勝沼はシカトしていた。
シカトしてた勝沼を見かねて隣にいた稲田が‥
「勝沼、勝沼貴士っていうんだ。」
その名前を聞いた警察官はすぐさま
「ちょっとお話でも聞こうか?」
と、警察官は勝沼の両手を掴むと仲間の警察官を呼んでパトカーに連れ込んだ。
「ちょっと‥」
俺は警察官を呼び止めた。
「何か証拠でもあるんですか?」
警察官はニヤリと笑って
「被害者の携帯電話に彼の名前がダイニングメッセージとして残ってあったんだよ。」
警察官は親切にも証拠のダイニングメッセージの書かれた携帯電話の写真を我々に見せてくれた。
確かに純平の携帯電話に平仮名で
かつぬま
と書かれたいた。
残された四人は連行される勝沼をただ見送っていた。
「やっぱり勝沼か‥」
と、稲田が言った。
「ねぇどうして勝沼なんだよ?」
俺は稲田に質問をぶつけてみた。
そういうと稲田は玲子と野々村も連れて少し離れた垣根に移動すると低く小さな声で‥
「知らないのか君ら。勝沼は純平に借金してたんだぜ。」
「ウソ? アイツ、純平からもお金借りてたの?」
と叫んだのは、社長令嬢の玲子だった。
「どういうこと?」
俺と野々村が顔を見合せて、二人に聞き返した。
まず話したのは玲子だった。
「アイツ、私からもお金借りてるんだよ。更に純平からも借りてるなんて‥」
稲田は全てを知ってるのか得意気な顔で
「そう、玲子からも借金してるのは知ってる。でも純平からも結構借りてるらしい。確か‥100万は借りてるかな?」
「えっ、マジかよ?」
何も知らない俺は驚くだけ。
稲田の話によると、勝沼は始めは玲子からお金を借りていたが、玲子の父親に反対され純平からお金を借りてたみたい。
純平は真面目な性格だし、頼まれたら断れないタイプのお人好し。彼は公務員で給料も良く、そこそこお金はあったらしい。
俺は稲田の話を聞き、勝沼が許せなかった。