夏の夜…どこからか聞こえて来る花火の音。
パンッパンッパンッ…
ロケット花火が続けて三回なった。
もしかして…
まさかあれから四年も経つのに。そんな事あるわけない。中三の夏休みの夜は決まって海辺に集まって花火をしていた。
集合の合図はロケット花火三連発だった。
まさかと思いつつも、少しの期待を抱いてみゆきは急ぎ足で海辺へ向かった。
テトラポットを下りて辺りを見回したが誰もいない。
やっぱり勘違いだったのか…帰ろうとしたその時。
「み〜ゆきっ♪」
聞き覚えのあるこの声は…
『わたる?』
「おうっ!!元気だったか?ロケット花火気付いた?(笑)相変わらず一番乗りはみゆきなんだなぁ〜」
四年も会っていなかったのに、普通に話しかけてくるわたる。全然変わってない。
『何してんの?あっちの大学行ったんじゃなかった?』
「夏休みだから帰って来たんだ〜☆家にいても暇だったから久しぶりに集合〜(笑)なんて思ってさ。」
それからみゆきとわたるは昔の想い出話へと進んだ。
どれくらい話ただろう。
『そろそろ帰らなきゃ…結局来たのあたしだけだったね(笑)』
「そうだな…。
気をつけて帰れよ。」
よく考えてみれば、今も実家に住んでいるのはみゆきぐらいだった。
テトラポットを上り家へ向かって歩き出そうとしたその時…
「みゆき!明日も来いよ!」振り返った時にはもうそこにわたるの姿はなかった。