なんで早瀬が。
いや、たぶん何かしらの理由で絡まれたんだろう。
これは、助けなきゃいけないけど、ケンカとかはなしで穏便に済ませたいな。
修二はそう思って、不良二人に話しかけようとした。そのタイミングで。
「修二君。助けて!!」
そう言って早瀬が不良の間を抜けて寄ってきた。
おい、『助けて』はダメだろ。
相手を余計にあおっちまうだろ。
あぁ〜、穏便に済まないかも。
「あの、とりあえず彼女がなにしたか知らないんだけど許してやってくれないかな?」
「なに、お前彼氏?てか、お前さっきからガン飛ばしてんじゃねぇよ。」
金髪が言ってきた。
「別に睨んだりしてないんだけど。」
「うっせぇよ!!」
茶髪の方が殴りかかってきた。
最近の不良ってこんなアクティブだったか?
修二はそんなことを考えたが今はそれどころではない。
相手の右手を内に払って掴む。
たしか少林寺の友達に教えてもらった技あったな。
そのまま掴んだ手と反対の手で手首を制し、ひねりながら押し返す。
これで手首が極まる。
そのまま引っ張りこんで一本背負い。
バァン!!
茶髪が地面に叩きつけられる。
「テメェ!!」
大振り。
瞬時に重心を下に落としふところに潜り込み、一撃。そのまま足を持ち双手刈り(もろてがり。相手の足を持ち上げタックルのように押し込む技)。
「うっ。」
短い悲鳴が聞こえた。
一人は一本背負いで体重を乗せたし、もう一人はみぞおちに一撃を入れといた。すぐには立てないだろう。
すぐに早瀬の手をとった。
「逃げんぞ。」
「えっ?」
早瀬はキョトンとしている。
「逃げんぞ!!」
「あっうん。」
夕方ごろ、日が傾きだしたころに、修二は早瀬の手をとって走り出した。