一安は、待っていた様にすぐ電話に出た。
「大丈夫?怒られた?」
一安が心配そうに聞いてきた。
「大丈夫だよ。あんま怒られなかったし」
私は少し元気がなさそうな声だったのかもしれない。
一生懸命喋って、私を笑わせ様とする一安の優しさが電話越しに伝わってきた。
「お前もう家出てこれんの?」
「うん」
一安の質問に、すぐ答えた私。
逢いたい。
それだけしか、考えてなかった。
遊びに行こうとする私に、母親が
「また、行くの?」
真顔で呆れた口調で聞いてくる。
私は母親の質問を無視した。
「ねぇ、聞いてんでしょ?」
それでも母親はしつこく聞いてくる。
「また、帰って来ないの?」
「一安の所に行くの?」
「あんたどうかしちゃったんじゃないの?なにが気に入らないから、そういう事するの?」
「あんたが家出して、お父さんと探し廻ったんだよ」
「一安の友達に聞きに行ったりもしたけど、皆知らないって言うし」
「お父さんだって、あんたのせいでぜんぜん寝れないまま仕事行ってんだよ」
母親の質問攻めだ。
「別に何も気に入らなくないし、迷惑なのはそっちでしょ。あゆには関係ない」
私は母親を馬鹿にした様に笑いながら、そう答えた。
母親は泣き出した。
私は母親と、まともに話す気なんて無かった。
嫌そうな顔で、ため息を着きながら渡しは玄関をでていった。
そして一安の所へ急いだ。