*溢れる気持ち*
「…弘樹…」
屋上に着いても、弘樹は黙ったまま。
なんであの時…美耶をはたいちゃったんだろ…
「…ぐすっ…」
弘樹…?
「…あーあ、俺、失恋しちゃったなぁ…」
嘘つき。
なんで笑えるの?
ほんとは、ツラくて悲しくてしょうがないんでしょ?
今も、涙我慢してるでしょ?
ギュッ…
フェンスに寄り掛かってる弘樹の背中に、そっと抱き締めた。
「…友?」
「…ひ…ろき、我慢…しなく…ていいよ…あたしが…いるか…ら」
なんであたしまで泣いてんのかな。
「…ありがとなっ…」
「…弘樹っ…」
「あーやべぇ。これ止まんねぇな(笑)」
彼女に裏切られても、浮気されても、弘樹は笑って言ったよね。
『俺が、あいつのことフったんだ。』って皆分かってんのに、わざとごまかしてた。
でも、あたしには弘樹が我慢してるってすぐ分かったんだ。
「…弘樹、」
「…ん?」
「我慢、しなくていいからね?」
「…お前、めっちゃいい奴!!(笑)」
あたしは、弘樹を絶対裏切ったりしない…。