家に着くと、泣きながら母親の説教が始まった。
なんで帰って来ないのか。
高校はどうするのか。
何が気に入らないのか。
人を困らせて何が楽しいのか。
その質問の繰り返しだった。
すべてに対する私の答えは
「知らない」
ただその一言だった。
次の日また私は一安に逢いに行った。
だがその日母親は、出掛ける私に何も言わなかった。
一安は元々、凄く束縛が激しい自由人だった。
早く言えば自己中心的な人。
少しでも気に入らない事があると、自分の気持ちに押さえがきかなくなる。
私はその事を一安の友達に相談していた。
その友達とは、私の元彼だった。
そんな事が一安に知られたら、殴られる。
相談を続けてた私に元彼が言った。
「俺と付き合おうよ」
「ヤダ」
確かに、優しく話しを聞いてくれていた事は嬉しかったが、その時の私に一安を裏切る気持ちはなかった。
だが、そういう日に限って一安の態度が冷たい。
私が、都合良くそう感じただけかもしれない。
私と一安は毎日喧嘩が絶えなかった。
その日、一安は家に帰ると言った私を殴った。
一安が帰って欲しくないと思っている事はわかっていた。
私だって帰りたくなかった。
最近私の両親はあまり何も言わなくなった。
私は、何処にも居場所がなくなると思った。
その日私は一安と喧嘩したまま家に帰った。