俺は野々村に近づいて真相を聞いた。
「なぁ、野々村さん‥純平と何があったん?」
「えっ?」
「いや、昨日純平の母親から二人が付き合ってたこと聞いたからさ。」
「あぁ、それもう昔のことだよ。」
野々村は冷たい言葉で答え、みんなの元へ向かおうとした。
「ちょっと待てよ。」
「何かまだあるん?」
「野々村さん、貴方でしょ‥純平を殺した犯人は?」
「はぁ? 何を言ってるの! 私を犯人呼ばわりするなんて学って最低ね!」
野々村は今までに見たことない怒りに怒った顔をした。
そんな空気の中、純平の告別式が始まった。
親族は俯いたまま涙を流し、俺と野々村、大河内玲子は目に涙を浮かべていた。
しかし勝沼と稲田は涙を流す様子もない。
稲田は純平の遺影を睨んでいる。勝沼に至っては玲子に相手にされないせいか純平の従姉妹の喪服姿にニヤニヤしていた。
相変わらず我がサークルの汚点だ。
昼過ぎに告別式は終わり、俺はサークル仲間全員を純平の家の中庭に集めた。
「何だよ、学。 これから何を話すんだ?」
稲田はめんどくさそうに俺に聞いてきた。
「あぁ、今から純平を殺した犯人を教える。」
「私のこと? 学、いい加減にして!」
「愛が犯人? やっぱりな。」
玲子が口を挟んできた。
「そうだ。愛が犯人‥動機は恋のもつれ。 そんなに純平が玲子と付き合い始めたことが嫌だったみたいだね。」
「な〜んだ、愛か? まだ純平に未練アリアリってか。」
勝沼は野々村をからかった。
「そんなんじゃない。」
野々村は大声を出して否定した。
「さぁ自首するんだ、野々村さん。」
「はぁ、何を決めつけてるの?」
「決めつけじゃないよ。ちゃんと純平もダイイングメッセージ残しているし。」
「ダイイングメッセージ? それって勝沼が犯人のだろ?」
稲田が横から口を出した。
「それが違うんだ、稲田。勝沼はひらがなと かつぬま だっただろ?」
「あぁ、確かにひらがなだったけど。 それかどうして愛になるんだよ?」
「初めはあの画面に かつ だけ打ってあったんだ、何も変換せずにな。」
「それで?」
玲子が聞いてきた。
「まぁ今から説明するよ。」
と、俺は礼服の内ポケットから自分の携帯電話を取り出した。