俺は携帯電話を開き、みんなに推理して見せた。
「まず、純平は殺された後に携帯電話で119を呼ぼうとしたが辞めたと思う。
それは相手にまだ恋心を抱いていたからね。」
俺もみんなも一斉に野々村を見た。見られた野々村は顔を背けた。
俺はさらに話して
「純平はその代わりダイイングメッセージを残そうと携帯電話のメール画面を開き、 かつ と打った。
誰しもがこう打つと勝沼だと思う。
しかし犯人はこんな微妙な二文字じゃなく、ちゃんと かつぬま と最後まで打ったんだ。
それが失敗。よく純平は俺の名前を打つのに
【がく‥AC】 時々俺の名前を文字ってACって使うこと思い出したんだ。
【かつ‥AI】 つまり かつ は勝沼じゃなく。」
「そうか! AI=愛。」
「そう、これこそダイイングメッセージ。
愛、いや野々村さん‥貴方が犯人ですね?」
「そうだよ。 私が殺したよ、純平をね。」
「どうして?」
玲子が不思議そうに聞くと
「全て貴方が悪いんじゃないの。」
「はい? 勘違いしないで‥純平は私の会社に行政処分の件を伝えにきたの。 私は何とかしようと色仕掛けで純平に迫ったけど、なかなか落とせなかった。
でも純平と貴方が別れたって聞いた時、もう一度迫ったらやっと落とせたけど心はまだ愛のことが好きだったみたい。」
「何? そんなことない、純平は玲子が好きになって‥」
そこに稲田が
「純平は愛に未練あったよ。その証拠に純平の携帯電話の待ち受けは愛だったからね。
玲子はこの辺じゃ大金持ちだからさ、純平は本気で付き合えないって話していた。」
「どうして知ってんだ、お前が?」
勝沼が稲田のそばに寄ってきた。
稲田は淡々と話し続けて
「僕は愛とも純平とも仲良しだったからね。
純平の奴、僕が愛と二人で旅行に行ったと勘違いして別れたけど‥僕の会社と愛の会社の慰安旅行先が一緒だっただけなんだよ。
帰り同じだから僕の車で一緒に帰ったとこを純平に見られたんだよ。
全ては誤解なんだ‥」
(そういうことか‥)
野々村は急に泣き出した。
「私、なんてことを!」
野々村は地面にしゃがみ込んで泣き崩れた。
俺はその場に立ち尽くした。
稲田も大河内もただ野々村の泣き崩れるのを黙って見てた。
勝沼だけしゃがみ込んだ野々村のパンツを覗き込んでいた。
相変わらず最低や奴だ。