昼寝から目覚めた一安から着信が入った。
一度無視したくらいじゃ、一安からの着信は鳴りやまない。
そして、私は五度目の電話に出る事にした。
「なに?」
私は自分の声で怒っている事を伝えようとする。
「お前、何やってんの?」
一安の声は完全に寝起きだ。
「別に何もやってない」
私はこの会話の間に、勝手に帰った言い訳を考えていた。
「じゃぁ早く戻ってこいよ、勝手に帰んのとかホントやめろよ」
一安は私が怒ってる事を、あまり気にしていない様子だった。
「わかったこれからは勝手に帰らない。だってもう、遊ばないから」
「わかったよ、もういいから早く戻ってこいよ」
「だから、行かないよ戻んない」
「お前もう面倒臭いから、早くして」
そんな会話を、二人でいつの間にか笑いながらしながらしていた。
「じゃぁ、あゆも行くから一安も来て、どの道を通るかは言わないから逢えなかったら、遊ばない」
「は?もうそういうの面倒臭いから、さっさとこいよ」
面倒臭いと何度も繰り返す一安。
だんだん、私も面倒臭くなってきた。
だから、私は素直に戻る事にした。
私が自転車で一安の家に向かっていると、遠くの方から一安がこっちに向かって歩いてきた。
どんどん接近してくる一安の顔は、恥ずかしそうな、優しい笑顔だった。
「ほら」
そう言って一安は、手に持っていた物を私に渡してきた。
それは、その時私が1番好きだったお菓子だった。
だから、私の顔も笑顔になった。
凄く嬉しくて、そのお菓子は食べずにしまっておいた。
お菓子は、腐ってしまい食べれなくなってしまった。
そしてまた、私は一安に怒られた。