すべてが運命なら

春樹  2009-03-19投稿
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それからも、私と一安は喧嘩をしながら毎日一緒にいた。

喧嘩が激しくなると、一安は私を力で押さえつける。

だから私の体は、あざが絶えずあった。

一安の暴力が初まって、まだ間もない頃は力に押さえ付けられる悔しさと

そんな表現のしかたをする一安の心を憎くみ私は泣いていた。

泣くのは嫌いだし、泣かれるのも嫌い。

でも毎日の様に続く暴力で、いつからか私の中から、悲しい、悔しい、可愛そう。

そういう感情が消えていってしまった。

私は、泣かなくなった。

一安がどんなに私を攻めても、何も答えず一安を見ていた。

泣くどころか、激怒する一安を見て笑ってしまう事もあった。

そんな態度をとる私に、一安は更に怒り木刀や竹刀で私を殴る。

私は痛いと思う神経も無くなっていた。

そして一安が怒っている間、私は何も話さなくなった。

その日も喧嘩をしていると、一安は激怒し包丁を持ち出した。

殺したければ、殺せばいいと思った。

私もこのまま、自分がだんだん人間らしく無くなるなら、死んでもかまわないと思った。

私は、もう居場所もない。

だが、無抵抗の私に一安は

「お前、頭おかしいんじゃねーの」

そう言って包丁を床に置いた。

その姿を見て私は笑った。

私は全ての事が、どうでもよかった。

喧嘩が終われば私は、いつもの自分に戻る。

いつもの私は、心が淋しさでいっぱいだった。



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