それからも、私と一安は喧嘩をしながら毎日一緒にいた。
喧嘩が激しくなると、一安は私を力で押さえつける。
だから私の体は、あざが絶えずあった。
一安の暴力が初まって、まだ間もない頃は力に押さえ付けられる悔しさと
そんな表現のしかたをする一安の心を憎くみ私は泣いていた。
泣くのは嫌いだし、泣かれるのも嫌い。
でも毎日の様に続く暴力で、いつからか私の中から、悲しい、悔しい、可愛そう。
そういう感情が消えていってしまった。
私は、泣かなくなった。
一安がどんなに私を攻めても、何も答えず一安を見ていた。
泣くどころか、激怒する一安を見て笑ってしまう事もあった。
そんな態度をとる私に、一安は更に怒り木刀や竹刀で私を殴る。
私は痛いと思う神経も無くなっていた。
そして一安が怒っている間、私は何も話さなくなった。
その日も喧嘩をしていると、一安は激怒し包丁を持ち出した。
殺したければ、殺せばいいと思った。
私もこのまま、自分がだんだん人間らしく無くなるなら、死んでもかまわないと思った。
私は、もう居場所もない。
だが、無抵抗の私に一安は
「お前、頭おかしいんじゃねーの」
そう言って包丁を床に置いた。
その姿を見て私は笑った。
私は全ての事が、どうでもよかった。
喧嘩が終われば私は、いつもの自分に戻る。
いつもの私は、心が淋しさでいっぱいだった。