想空 (10)

奈緒  2009-03-19投稿
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*友達の裏切り*


「…ひ…ろき」

あたしが叫ぼうとした言葉は、弘樹が言った。

「…やだぁ、弘樹クンじゃあん♪」

女達は、弘樹の元に駆け寄っていく。

「ねぇねぇ♪あたし達とどっか行こう?」

「……んな」

「えっ?」

「さわんじゃねえ!!!!!」

弘樹の声が、廊下に響き渡る。

「…美耶」

弘樹の低い声に、美耶の肩が震えた。

「…てめぇなんかもー好きじゃねぇよ。新しい男掴まえんのは勝手だけどよ、せいぜい捨てらんねーよーにしろよ」


鼻で弘樹は笑うと、座り込んでるあたしに手を差し伸べた。

「…何よ!!あ、あんたなんか嫌い!!」

美耶達は、階段を上がって行った。

「…ひ…ろき…」

「…ありがとな、友」

笑ってくれたね、やっと…。

「…あた…し、弘樹…が好きだから…美耶と…幸せ…になって欲しく…て…」

「…俺、気付いたんよ」

あたしの頭を撫でながら、ゆっくりあたしを立たせてくれた。

「美耶にフラれて、落ち込んでた時とか泣いた時とか、いつも友がいてくれたろ?」


涙でグシャグシャのあたしの顔を、優しく大きな手で包んだ。

「…俺も、友が好き」

抱き締められた暖かさが、今も残ってるよ。

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