人はどうして、
自分を犠牲にしてまで
誰かを助けようと
するのだろう…。
直斗はどうして、
アタシなんかを
助けたの…。
「ねぇ。直斗。
いつもみたいに
笑ってよ。
ねぇ。直斗。
いつもみたいに
葵衣って呼んでよ。
いつもみたいに
好きって照れながら
言ってよぉぉぉ…。」
アタシは、泣き叫んだ。
泣きすぎて、
喉が痛くても叫んだ。
神様。
直斗を助けて下さい。
神様。
直斗を返して下さい。
しばらくして
救急車が来た。
けれど…、
直斗がまたアタシを
葵衣と呼ぶ時は…
もう来なかった。
あの日
ただ食べながら直斗と、
話をしたかっただけ
なのに…
アタシのせいで
直斗は、
もういないんだね…。
直斗が、いなくなった。
アタシのせいで…。