森を抜けて出た場所は光の雨が降り陽光が暖かい池の辺だった
ぽう、ぽう
と漂い地面に落ちては消えて行く
手に取ってみようとするが光りは手を擦り抜けてしまう
「不思議なところもあるんだな………」
などとつぶやいてみたが思えばさっき通った森も十分不思議な場所だ
ただ違う点があるとすればあの森はよそよそしい雰囲気があったが、こちらはどこか暖かいような雰囲気の場所というところだ
そんな雰囲気を感じとりながら辺りに何かないかとぐるりと見回してみた
池の回りには小屋のようなものが一軒
あとは………
「!?」
………女の子…か?
近づくとそれはたしかに生身の女の子だった
その娘を人だと認識するのに迷ったのには訳がある
年齢は僕と同じぐらいだろう
その娘は陶磁の様な白い肌を持ち
服はシルクでで出来たワンピースを着ていた
髪は艶やかな黒髪
顔立ちは東洋系とも西洋系ともつかない
だが、恐ろしい程調和のとれた顔立ちだ
まさに職人が精魂込め手掛けた人形の完成形の様な姿の少女だった
そんな少女が木製のサマーベットの上ですやすやと寝ていたのだ
人形と見間違えてもしょうがない様な気がする
僕がしばらくその娘をのぞき込んでいると少女はうっすらと目を開き僕の姿を見るなり
はっ、となってのけ反る様になったが
次の瞬間には全てを悟った様に僕にこう質問してきたのだ
「そう…貴方が………」
僕はその言葉に妙な近視間を覚えたのだが結局意味が分からず「……?」
と答えを拱いていると
少女は
「いえ
なんでもないわ………
そうね、なんでもない…それより貴方の名前は?」
それが僕と少女の物語の
“始まり"だったのだ