すべてが運命なら

春樹  2009-03-20投稿
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彼の家はマンションだったので、少し落ち着いた一安と、滅多に人が通らない階段で話しあった。

話しあったと言うよりは、私が怒られ続けただけだ。

私の携帯電話は折られ、何も言わない私の頭を一安がコンクリートの階段に打ち付ける。

一安が怒ると私の心は、今起きてる出来事から逃げる。

頭を打ち付けられながら、

【髪の毛が有ると、あんまり痛くないんだ髪の毛って役に立つんだ】

そんな事ばかり考えていた。

だから、どんなに怒られても私はまた、彼に逢いに行った。

一安に別れて欲しいと言ったりもしたが、一安は絶対に別れてはくれなかった。

自分でも、何がしたいのか全く解らなくなっていた。

その日彼の家から帰ろうとした私を、彼が待ち構えていた。

「お前、なにやってんだよ」

その日の一安は怒っていなかった。

「わかんない」

私はそう言った。本当にわからなかった。

「帰ろう」

一安はそう言って泣きながら私を抱きしめた。

そして私は一安と一緒に、一安の家に帰った。

帰る途中、私は少し自分の具合が悪い事に気付いた。

一安の家に着いて熱を計ると、三十九度近い熱があった。

そんな私の為に一安のお母さんが、お粥を作ってくれた。

そして、食べ終えた私の茶碗を一安が洗ってくれた。

いつもは、何もしないで座ってるだけの一安が、不器用に茶碗を洗う後ろ姿を私はずっと見つめていた。

私は、彼と逢うのはやめた。

私は誰かに甘えたいだけだったと気付いた。

だから一安に甘えられる様になればいいだけだと思った。



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