すべてが運命なら

春樹  2009-03-20投稿
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だから、私は一安に別れて欲しいと頼みつづけた。

でも、一安の答えはいつも「No」だった。

ある日の夕方、新しく買った私の携帯に、一安から電話がきた。

「もしもし?」

一安は機嫌が良さそうな声だった。

「お前さ、俺と別れたいんだろ?」

一安のその言葉にびっくりした。

「うん」

別れてくれるのだと思いながら、私は一安に返事をした。

「今日来たら別れてやるよ」

一安のその台詞には、さんざん騙されている。

「また、嘘でしょ」

私は呆れた口調で返した。

「今回はホントだよ」

一安が真面目な声で言った。

私は少しでも可能性が有るならと思い、行く事にした。

その日は一安の友達や後輩、皆で飲み会だった。

私は彼に黙って、一安に逢いに行った。

彼にはもう、何を言われても行かないで欲しいと言われていた。

その夜、私の携帯に彼から着信が入った。

鳴りだした携帯を一安が見つけ、私を振り払い電話に出てしまった。

そして一安は、彼を呼び出した。

彼は来ないと思った。

だが、彼は呼び出された場所に本当に来てしまった。

彼は、一安にさんざん殴られた。

彼の顔は原形がわからないくらい腫れていた。

一安は、私の前に彼を連れて来て

「俺と、こいつどっち選ぶの?」

一安が私に迫った。

私は5分位沈黙してから

「一安…」

そう言った。

彼はその後一週間入院したと、人づてに聞いた。

私に罪悪感はなかった。

でも、確信した。

もう一安からは逃げられない。



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