アリネスの呟いた感謝の言葉と共に、闇の輝きは夜風に流されてゆっくりと消えていった。
ロイは剣を構えてユミナの方を向くと、一つ小さく息を吐いた。
「ユミナ姉さん、これで貴方には抵抗する手段が無くなりました。…投降してくれませんか?」
「…いい気にならないでよ…」
ユミナはロイをジロリと睨んで、ぎゅっと唇を噛み絞めた。
「投降して私が助かるとでも言うの!?…あんた、私を馬鹿にしてるのね…」
「そうじゃないです」
ロイは首を横に振った。
「もうこれ以上、罪を重ねて欲しくないだけです。貴方にとってもそうだし、僕にとってもそうです」
「…」
「助かる助からないの問題じゃない。僕は妹を死に至らしめた罪を背負って生きています。そして、貴方に対して発した侮辱の言葉の罪も背負って生きていく事も決めました。だから…」ロイは一つ言葉を切って、唇を震わせた。
「貴方にも、町の人たちを殺した罪を背負って、もう一度『ユミナ』として生きて欲しいんです」
「…!」
ユミナは目を大きく見開いて、息を呑んだ。
「貴方はフードとマントで顔と身体を隠した。隠密行動をする為という事もあったでしょう。でも、本当の所は違ったんじゃないんですか!?」