二人っきりになってから、私も一安に殴られた。
今まではアザで済んでいたが、その日は顔を殴られて
私の片目は開けられない位腫れ、口の中が切れて、自分のズボンに血がこぼれ続けた。
【殴られただけで、血ってこんなに出るんだ。血ってチャント洗えば落ちるかな?】
また、そんな事を考えていた。
そんな事があってから、私の中で何かが吹っ切れた気がした。
もう、浮気はやめた。
そして一年が経った。
十月、その日は私の十八歳の誕生日だった。
勿論一安は今まで、私の誕生日を祝ってくれた事など無かった。
でも、私は一安の誕生日は必ずケーキを作り、プレゼントをあげた。
一安は誕生日を祝って欲しいと、毎年一週間位前から言い始める。
別に不満は無かった。
一安の喜ぶ顔が好きだったから。
でもせめて、私の誕生日に傍に居てほしかった。
私の誕生日当日、一安は朝から友達と出掛けたまま連絡して来なかった。
私は自分の家で連絡を待っていた。
23時57分もう誕生日が終わる、覚えてなかったのかなと
私が諦めかけた時、一安がバイクをフカス音が聞こえた。
一安はいつも私を迎えに来るときは、同じ音でバイクをフカス。
私は、走って外にでた。
一安は、バイクを停めて時計を見ていた。
そして、走ってきた私に
「プレゼントとか無いけど、とりあえず間に合ったね、おめでとう」
「うん、そんなの言いに来たの?」
「ついでだよ」
「なんの?」
「お前に逢いに来るついでだよ」
「うん」
私も一安も恥ずかしさを隠しながら笑いあった。