「ザーマス家の家系は、昔から厳格ですからね」
「んなもん、関係ないわい。子どもたちを立派にするしないは…
エルファだけでなく、おぬしやマルシア・ハーレス夫人の気持ちにも、かかっておるのじゃぞ」
「そうかも、しれないけど」
「ううん? 何か、心配事でもあるのか?」
「ええ、あります」
「何じゃ、話してみぃ」
「母親であるエルファ自身が、私たちを子どもたちに近づけようともしないから、どうにもならないんです」
「問題はそこじゃの。
何故、子どもたちを隔離状態にするのか」
「我が子を守ろうと、必死になっている」
「そうだったら、神経質になり過ぎておる」
「母親ですからね、仕方ないでしょう」
「ワシは他にも、理由があると思っとるがの」
「どんな理由ですか?」
「分からん。あの神経質な母親人形が何を考えておるのか探らん事には、答えが出せん」
「まさか、会長ご自身が」
「ワシではなく、ベテランのアドバイザー人形を派遣させるつもりじゃ」
「大丈夫でしょうか?」
「心配するな、彼女たちに任せい」
「…」
不安だ。
マルシアの言う事でさえ聞かなくなってしまったエルファが果たして…
協会側の指導を受け入れるかどうか?
ジャックは不安になっていた。