元々不順だった私の生理が、その月も遅れていた。
生理予定日から、三週間も経っていた。
私は軽い気持ちで、妊娠検査薬を買いに行った。
自分の不安感を無くせば、生理が来ると思った。
妊娠検査薬を買ったその日の夕方、私は自分の家で検査をした。
私は、結果を見て驚いた。
私のお腹に赤ちゃんがいた。
途端に、私の目から涙が溢れ出た。
何故涙が出たのかは、解らない。
早く一安に報告しなくてはいけない。
そう思ったが、私は迷っていた。
生理が一週間遅れていた時の、一安との会話が私を迷わせていた。
「お前生理来たの?」
突然聞いてきた一安。
「来ないよ、でも一週間位ならいつも遅れるから、そのうち来るよ」
私がそう答えると
「妊娠なんかしてたらぶっ飛ばすから、つーか、妊娠してても俺の子じゃないから」
真剣な顔で一安がそう言った。
「うん」
その時の私は妊娠してる訳ないと思っていた。
私と一安は四年間、毎日性交渉をしていた。
だが避妊はしなかった。
今まで妊娠しなかったのに、今更妊娠するわけ無いと思っていた。
私は妊娠した事を、しばらく一安に言えなかった。
一安のお母さんが帰って来るまで、後一週間。
その一週間は幸せだった。
妊娠した事で、私の淋しいと思う気持ちは消えた。
私は毎日お腹に話しかけ、気付いたら私の手には、お腹を触る癖がついていた。
毎日笑顔で過ごしていた。