初めに
俺はマセたガキだった。
小学3年生である夏。母方の祖母のふみバァの家に母さんと一緒に里帰りの名目で帰った時だ。
本当はその時から、親は夫婦仲が悪くなり、別居の延長で実家に戻ったそうなのだがそんな事わずか9歳の俺には知らされていなかった。
まぁ、父親は『忙しい』とあまり俺に構ってくれず、母親も放任主義だったからもんだから俺は小学生で不良少年となっていた。
しかし、小学生のする悪事なんてたがが知れてるし親は離婚だのお金だののゴタゴタで構ってもらえなかったからか俺は事あるごとに外へ出かけた。
でも都心とは違い、
田舎だったから前みたいに万引きをしょうにも小さくてボロい商店しかなかったし、煙草を吸うといっても販売機なんかあるはずもない。タバコ屋の‘橘’というこれまたよぼよぼの婆さんが営む店でしか取り扱ってさえない。田んぼの稲が静かにゆれる風景が日常。
スリリングなんて一ミリもなかった。
たがら
川に行って山に行って。
いつの間にか俺にも2人、友達が出来ていた。
名前はヨッちゃんとクマっちゃん。
ヨッちゃんは好正(ヨシマサ)で
クマちゃんは熊田琢磨(クマダタクヤ)だからこんなあだ名がついた。
そんな夏の終わり俺は二人に夏祭りに誘われた。
子供にとって夏祭りとは3大イベントの一つというように楽しみなもんだ。
今となったら人混みを歩くのは難儀で面倒な徒歩でさえ子供にとってはなんてことはない。
でも初めての田舎の祭り。俺ははしゃいでいたせいか二人とはぐれて川の方に抜け出てしまったんだ。
そう・・・・・・・
それが始まり。