『サチヨ。さっき言ってた言葉だケド‥‥あたしは違うと思う。
裏切り者が、裏切り者に裏切られただけじゃ、罪の償いにはならないし、それだけじゃ、何の解決にもならないと思う。』
あたしの言葉が意外だったのか、サチヨとタツヤは、目を丸くして、あたしの顔をじーっと見つめた。
『奈央。あんたって、どこまでお人好しなの?!全く信じらんない性格してるよ。
分かってる?!
あんただって、ユカに裏切られたんだよ?!
アイツのせいで、クラス全員からシカトされて、いじめられるようになったじゃん?!
普通、あんな酷い目に合わされたら、2度と仲良くなんてなれないと思う。
奈央。あんた、おかしい。変わってるよ。』
サチヨは、あたしにそう言った後、タツヤに同意を求めるかの様に視線を送った。
『木下、オマエだって内心は、秋田谷が不幸な目に遭うコトを想像して楽しんでんだろ?!
秋田谷は今日休んでんだろ?!
その男とデートじゃねーの?!
2股、3股、4股掛けられてるとも知らねーでよ?!』
おかしい‥‥?!
あたしが‥‥?!
なんで?!
あたしは、サチヨとタツヤの言葉が許せなかった。
コイツら2人は似ていると思った。
そして、よく分かった。
コイツらの人間性が。
サチヨもタツヤも、結局は弱い人間なんだ。
他人の噂や中傷をかき集めて、陰口をたたいたり、他人をおとしいれたり。
そういうコトでしか自分の身を守るコトが出来ないんだ。
そう思うと、
コイツらって、
なんて小さいヤツだって思った。
『タツヤ。あたしがユカの不幸を願ってるだなんて、変な噂流さないでよね。
サチヨもタツヤも言動には気を付けた方がいいよ。
じゃないと、
腐った大人になるよ。』
サチヨとタツヤは、一瞬、顔を見合わせた。
彼らにとって、あたしが、こんな言葉を返したコトは驚きだったに違いない。