こんなに辛いなら、いっそ最初から何も無かった方がよかった。
そう思わずにはいられない―。
「終わりにしよう。」
「え?」
今も耳にはっきりと残っている。
頭を銃で打ち抜かれたみたいに、一瞬にして真っ白になり思考回路が停止した。
「俺みたいなおじさんより、まだまだ若い莉緒には良い奴いるから。」
止めて。キキタクナイ―。
そんな残酷な言葉を微笑みながら言い放つ彼の言葉を、あたしはただ、俯いて聞くしかなかった。
6つも年上の彼に合わせて、少しでも釣り合いたくて服や髪型、振る舞いなんかも頑張った。
そんなあたしは最後まで、泣き付いてすがることさえできず、気丈な振りをしていた。
終わりが来ることは分かっていた―。
約束だったから。
高校生のあたしは、彼にとってはお遊びにしか過ぎない。
大学生の彼は結婚はしていないものの、結婚を決めた彼女がいた。
それを承知で付き合ってもらって1年。
こんなにもあっさり終わってしまった―。