闇の守護(3)

流香  2009-03-23投稿
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近付く男の顔が、はっきり見えた時、あたしは見覚えのある愛しい顔に驚きと嬉しさを感じて、思わず名前を呼んでいた。

「何?! 術が解けただと? 何をしている、その女と男を引き離せ。」
冷血男の言葉で、暗闇の中から現れる数人の影。
「危ない……。」
襲いかかる敵から、素早くあたしの体を抱え上げそのまま攻撃を交しながら、あっという間に外に出る。
あたしは抱えられた状態でしか分からなかったけど、かなりの衝撃はあ感じていた。

「ここまで来ればもう、追う事はしないだろう。」
そう言いながら、地面にあたしを降ろした男は、やっぱり、見れば見る程高峯君にそっくり。
でも、本人とはかなり雰囲気が違う!
それに、助けてもらってこんな事言いたくないけど、顔がいくら好きな人に似てるとしても、この男は、あの、冷血変態男の手下には違いないって事だけは変え様のない事実。

「何故襲われた?」
辺りは、薄暗く、月明りの中で、不意に問い掛けられ、
「分からない…正直言うと、ここが何処なのかも、貴方が誰なのかも。」
そう答えながらも、顔を見てしまうと、心がドキドキしちゃって、止まらないから、ずっとうつむいたまま向かい合った場所に座っていた。

「そうか…私は、創。 ここは闇の狭間。」物静かに話す、゛そう″と名乗る男の話を黙って聞いてたあたし。
そして、ようやく、あたしは、自分の身に起っている事に気が付いた。

「それじゃ、あたしは、死んでるって事?」思わず口にしてしまった言葉を飲み込んで、あたしは、後悔の渦の中を彷徨う。

創の話では、ここは現世で命を落した人間の心が迷い込んで来る、闇の狭間で、ここに辿り着いた人間は、全ての心を短剣に封じ込められ、二度と、生まれ変わる事も出来無いまま、彷徨い続ける場所。
だから、ここでは、日の光も差す事が無く人の心には、感情と言うものが無い。

そんな信じられない話を聞いたあたしの目からは、涙が止らなく溢れていた……。

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