私の予想は当たり、妊娠を報告した次の日一安と喧嘩をした。
でも、その日の喧嘩は違っていた。
その日一安の家族は出掛けていて、私と一安は二人っきりだった。
「俺の子じゃねーから」
一安のその言葉から始まった。
「でも、産む」
その日の私に沈黙はなかった。
一安は私のお腹や腰を蹴ろうとしてきた。
私は必死にお腹を守り続けた。
「やめてよ、そんな事したって無駄だから、結婚してなんて頼んでないし、一人で産むから、もうやめて」
私は怒鳴った。
「そんな事出来る訳ねーだろ、いいから降ろせよ」
一安も怒鳴った。
「ヤダ。そんな事一安に決める権利ない」
私はお腹を触りながら、そう言った。
「ダメだよ、降ろせ産ませねーから」
突然冷静になった一安は、呆れた様子でそう言うと、その場から逃げた。
私は台所に行き、一人しゃがみ込み考えていた。
すると、私の目から涙が溢れ落ちた。
そこに、また一安が来た。
「泣いてんの?」
「別に泣いてない」
「お前泣いても、ダメなものはダメだよ」
「そうゆんで泣いてる訳じゃないよ」
そんな会話をしながら、私は一安に背を向けて、目の前にあった包丁を手に取った。
「そんなに、赤ちゃんに死んで欲しいなら一安も死になよ」
私は、そう言って振り返った。
「は?殺してみろよ」
包丁を持っていた私を一安が挑発した。
「じゃぁ、殺す」
そう言いながら、勢いよく一安に迫って行った。
私は一安を殺す気なんて、始めからない。
でも、そこまでやれば一安が「いいよ」と言ってくれるかもしれないと期待した。
その包丁は、一安にすぐ取り上げられた。
それから三日間で、要約一安は産む事を認めてくれた。