目が覚めた時、君がそばにいないと、もうその日は一日中寂しくて、夜になれば、何度も何度も名前を呼んでしまう。
いつか君が永遠に離れていってしまいそうで、だから私は、何度も何度も繰り返す。
「大好き」
君に出会った頃、私は上京してきたばかりだった。
君は週3回しか会うことがない、ただのバイトの先輩だった。
私には彼氏がいた。
彼が仕事の都合で東京へ行くことになり、その後を追ってきたのだ。
彼は仕事熱心だった。
実際に仕事をしている所を見たわけではないけど、彼が自分の仕事が好きなのはよく分かっていた。プライベートに仕事の話を持ち込むのも嫌だとは思わなかった。
その彼がいつからか、部屋にあまり戻ってこなくなった。
仕事なんだろうな…
電話にも出ない。行き先も分からない。ずっと前から楽しみにしてた久し振りのデートの約束だって、見事にすっぽかされた。
「どうして??」
やっと帰って来た彼に、泣きながら聞いた。
彼はごめんの一言もなく、ひどく不機嫌そうな顔を向けた。
「ねぇ、待ってたんだよ」
言いたいことはたくさんあるのに、涙が溢れて、それ以上何も言えなくなった。
「私はこんなに好きなのに、どうしてあなたは私を見てくれないの…ってか!?」
彼が怒鳴った。
私は泣くしかなかった。
何で帰って来なかったの?何で都合のいい時だけ私を抱くの?私が悪いの?
言いたいことは何も言えず、でも見捨てられたくなくて、つい謝ってしまった。
「ごめんね…」
これでいいんだ、その場ではそう思った。
けれど、これが最初で最後の喧嘩になってしまった。