鏡サヨナラ(一話完結)

キユデヒ  2009-03-25投稿
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君の病気を知りながら…。




僕は君と付き合っていた。



余命4ヶ月か…。




僕は病気の事に一切触れず君と話をしていた…。



今日は昼にドーナツ食べたとか…どうでもいい話をした…。





やつれた顔を見るのが嫌だから病室の鏡を取り外した…。




その日から4日連続て同じ夢を…。





君が僕に向かって手を振る…泣きながら…。




僕は目をさます…。




それを4日連続…。




その事は君に話さない…。



いつものように…。
昼にクリームパンを食べたとか…どうでもいい話をした…。






僕らの時間は有り難くも…正確に消化されて行った。





忘れる準備をしようと考えていたが…忘れようとする作業じたいが忘れられない原因だ…。





自然に任せる…。
時間に任せる…。
方法はそれぐらいでしょうかね…?






って誰も答えてくれないか…当たり前って感じだけどね…。






命の炎がただの火となり…点々が取れて人になって…支えがなくなり人が消える…。





わかっていても…手が震えて怖いものだ…。





僕は彼女に内緒で手鏡を隠していた…。
久しぶりに自分の顔をみたそこに映っているのは…。





もうじきこの世を去る男の顔だ…。






僕と君は同じ病気…。
二人にしかわからない…。この痛み…苦しみ…。




僕は息が浅くなり…最後に君が窓越しに泣きながら手を振る…。





君の手を振る姿が僕の手鏡に映っていた僕にそっくりだった…。


君もいつか亡くなるのか…でも…唯一の願いが叶った僕より君が長く生きてくれた事…。

…鏡………………………………サヨナラ…………。



僕の最後の言葉は君に届いたかな…。














またね…。



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