君の病気を知りながら…。
僕は君と付き合っていた。
余命4ヶ月か…。
僕は病気の事に一切触れず君と話をしていた…。
今日は昼にドーナツ食べたとか…どうでもいい話をした…。
やつれた顔を見るのが嫌だから病室の鏡を取り外した…。
その日から4日連続て同じ夢を…。
君が僕に向かって手を振る…泣きながら…。
僕は目をさます…。
それを4日連続…。
その事は君に話さない…。
いつものように…。
昼にクリームパンを食べたとか…どうでもいい話をした…。
僕らの時間は有り難くも…正確に消化されて行った。
忘れる準備をしようと考えていたが…忘れようとする作業じたいが忘れられない原因だ…。
自然に任せる…。
時間に任せる…。
方法はそれぐらいでしょうかね…?
って誰も答えてくれないか…当たり前って感じだけどね…。
命の炎がただの火となり…点々が取れて人になって…支えがなくなり人が消える…。
わかっていても…手が震えて怖いものだ…。
僕は彼女に内緒で手鏡を隠していた…。
久しぶりに自分の顔をみたそこに映っているのは…。
もうじきこの世を去る男の顔だ…。
僕と君は同じ病気…。
二人にしかわからない…。この痛み…苦しみ…。
僕は息が浅くなり…最後に君が窓越しに泣きながら手を振る…。
君の手を振る姿が僕の手鏡に映っていた僕にそっくりだった…。
君もいつか亡くなるのか…でも…唯一の願いが叶った僕より君が長く生きてくれた事…。
…鏡………………………………サヨナラ…………。
僕の最後の言葉は君に届いたかな…。
またね…。