私はその日、病院に行くお金が無くて困っていた。
私は一安に電話した。
「何だよ」
一安は機嫌が悪そうだった。
「なんでもない」
私は機嫌が悪い一安の声を聞いたら、お金を貸して欲しいと、言えなくなった。
「何だよ、何か言いたかったんだろ」
ハッキリしない私の態度に、一安は更にイライラし始めた。
「お金貸してって言いたかった」
私は電話した事を後悔していた。
「俺に、頼んじゃねーよ」
一安が怒鳴った。
「解ってる、ただ言ってみただけだよ。病院行かなきゃいけないから」
私はホントに一安と結婚していいのかと、妊娠してから、毎日考えていた。
だが、この電話で結婚してはいけないと思い知らされた。
結局病院の費用は、私の兄に事情を説明して出してもらった。
病院には、友達に付き添ってもらった。
病院の先生が見せてくれた、赤ちゃんの姿はどこと無く人の形をしていた。
赤ちゃんの心音はしっかり動いていた。
先生は私の顔を見ながら
「元気に動いてますよ」
そう言った。
私は、泣きそうになった。
全てが嬉しかったから。