私はどうしても、一安に聞きたい事があった。
だから二人っきりの時に、聞いた。
「ねぇ一安、赤ちゃん産んで欲しいと思ってる?」
産んで欲しい、私はだだその言葉が聞きたかった。
「そんな事言わなくてもわかんだろ、一々面倒臭い事聞くんじゃねーよ」
一安が怒鳴った。
一安は私の妊娠が解ってから、ずっとイライラしていた。
「言ってくんなきゃわかんないよ」
ただ、産んで欲しいと聞きたかった。
「じゃぁ、お前は産みたいの?」
一安は話しをそらした。
私はそんな一安にイライラした。
「そんなの言わなくても解るんでしょ」
私はそう言った。
その答えに怒った一安は、私に物を投げ付けた。
「もう、知らない」
私は、泣いた。
ただ産んで欲しい。
そう聞きたかっただけなのに。
私は自分の家に帰った。
誰も居ない家で、死のうと思った。
脱衣所で、剃刀を腕に当てたその瞬間。
【ママ】
そうハッキリ聞こえた。
私は我にかえった。
その夜、私は赤ちゃんに語りかけていた。
「もう、産めないんだごめんね」
「せっかく、あゆを選んでくれたのにごめんね」
「でも、本当に愛してるんだよ。」
「ごめんね……」
次の日の夕方、私はお腹を殴り続けた。
殴る度、涙が溢れ落ちた。