心鬼(しんき)?

高柳美帆  2009-03-25投稿
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玄田によって未来…つまり、現代に飛ばされた拓と赤子の麗はどこかの山奥にいた。拓は赤子をしっかりと抱いて、現代の光を見つめる。

あれから17年…。
「麗(うるは)。飯出来たぞ。」
拓の声に麗は藁の掛け布団を翻しながら、眠たそうな目をこする。
「拓じぃ。おはよ…。」
女性とは思えない鋭い目を麗は拓に向ける。
「じぃ、はやめろ!じぃは!拓にぃって呼べって言ってんだろ。」
すっかり老いた拓は無造作に縛った髪の下からジロリと見た。
麗は、それに負けずといったように視線を送る。
「父様が私達をここに飛ばしてから17年。当時18だったんでしょ?なら十分歳じゃん…。」
拓は溜め息をつきながら茶碗にご飯、お椀に味噌汁をよそった。おかずは、ほうれん草の胡麻和え。
「いただきます。」
麗は箸をとり、朝食を口に運ぶ。あの時以来、二人は山奥に小さな小屋に住んでいる。廃家らしく所々ボロボロだったが拓が必死に補強をしたりした。
「麗。がっこうとかいうやつに遅れないか?」
拓が慣れない口調で聞く
。麗は無表情のまま答えた。
「…大丈夫だよ…。あいつが来るから。」
拓が首を傾げた直後、扉を叩く音が響いた。
「麗ー!来たぜーー!」
声からして男性だ。その声を聞き、拓はにんまりとした。
「なぁんだー?彼氏出来たのか…?熱いね〜…。」
「…違うよ。あいつにはちょっとした出来事がきっかけでよく話すようになっただけ。」
麗は身支度をして立った。
「ちょっとした出来事って?」
拓は相変わらずにんまりしながら、聞いた。麗はスパッと答えた。
「…心鬼ってばれた。」
「は!?」
ポカンとしている拓を置いて、麗はドアを開ける。そこには、茶髪のショートヘアの男性がいた。
「よっ!」
「…おはよう…諷哉(ふうや)」
麗はぽつりと答えた。諷哉と名乗る彼は、あははと笑いながら答えた。
「…くれーぞー!そんな暗いと…斬るよ…?」
「本当に斬るよ?」
麗はキッと睨みつけた。諷哉は慌てて
「悪ぃ、冗談だ!」
と謝った。



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