彼らは愛し合っていた。
視界には限りない闇が広がっている宇宙の中で。
愛があれば他は何もいらない、と言っているかのようだった。
ひたすらうねり、絡まり、抱き合う。
その行為の全てが今の人類が求めていることのようだった。
「愛してるよ、オンナ。」オトコはオンナを抱きながら言った。
「わたしもよ。」
そんな愛し合っていた彼らに悲劇が起こった。
オンナの体が膨れてきたのだった。
オトコは急に自分の腕の中のオンナが抱けなくなったことに気付いた。
視界は何も見えないので焦った。
オンナは勝手に膨れ上がりオトコの何倍にもなった。
「オンナ！どこへ行ってしまったんだ？」
オトコの声が宇宙に流れる。
オンナにその声は届いていた。
しかし、変わり果てた自らの姿に怯えていた。
それからかなりの時間が経過した。
オトコの喉は潰れ、声が宇宙を駆け回っていた。
一方オンナは肥大し過ぎで真ん丸になっていた。
地球が誕生した。
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