お母さんを知りません。
私は、お母さんを知りません。
お母さんの顔も、体も…
だけど…だけど…
一つだけ覚えている。…それは…
匂い。
一度だけ抱きしめてくれた、お母さんの匂い、それだけは覚えています。
お母さん。
冬の風が冷たい日、雪の沢山降り積もる日…。
「ここで待っているのよ。
誰が優しい人が、まい、
あなたを迎えにきてくれる
からね。」
「お母さん…?お母さん…」
急になくなっていきました…
お母さんの手の温もりや肌の温度…匂い。
何時間も呼び続けたのを今でも覚えている…
その後のことは覚えといないけど、大きな木下で私は、眠っていたそうです。相棒のステッキと一緒に。