神野 美穂はコンピュータプログラマ。27歳。彼氏いない歴も同じ。
元々人付き合いが苦手だ。
だからこの仕事に就いた。
あまり他人に干渉されない仕事だと思ったから。
しかし…。上司からずっとセクハラを受けていた。
何でワタシなの?他にもっときれいな人も若い娘もいるのに…何でよりによって私なの?
美穂は自分が思っているより器量が良い。美人の類いに入るだろう。
しかし、根っからのネガティブな性格と冴えないファッションで台無しだ。
美穂は他人に干渉されたくない。
傷付きたくないからだ。
いつも安全策をとる。冒険はしない。
ファミレスで注文するメニューも大体いつも同じ。
店に入るまでは、違うものが食べたいのだが、店員が来るといつものメニューを指さしてしまう。
多分セクハラ課長はそんな自分の性格を見抜いているのだろう。
この女なら抵抗しない、と。
セクハラがエスカレートし身体を触られるようになったので、美穂は会社を辞めた。
今は雇用保険を受けながら仕事を探している。
今日もハローワークに来ていた。
「ねぇ、カンちゃん、何か良い仕事あったぁ?」
美穂は声をかけられ振り返った。