『な、なんだっ………?!?』
4階の窓からだ。
屋上のフェンスにがしゃがしゃっとよりかかって、
友達であろう声が聞こえた方に向かって応答した。
『なにーーーーッ??!』
『せんせーがさー!お前探してるってー!捕まる前に自首しとけーーーー!』
なんだと。
直にここもばれる。
『………と、ゆーわけだから、さ。』
『…うん。ばいばい。』
あんまりあっさりしたばいばいに、僕はちょっとがっかりしつつも、
ばいばい、と言い返して
屋上から出た。
『あっ。ねぇ明日も来るの?』
僕は、立ち止まって少し考えてるふりをしながら
『っ…うん!多分くると思う!』
と、おもいっきり振りかえって答えた。
『そう。』
クスクス笑いながら、女の子は手をふった。
『じゃぁ、またね。』
ばいばいから
またねに変わっただけなのに
さっきの寂しい感じはなかった。
『ま、またね。』
ダダダダッと階段をかけおりて、僕はしょくいんしつに駆け込んだ。
『せんせー常習犯自首しにきましたよー』
隣のクラスの担任が茶化すように言う。
『あっ!相田!おまえから来るとはおもってなかったぞ!よし!反省具合によっては説教免除してやる!』
先生はひとりで勝手に感動している。
『あのさせんせー!俺、明日も遅刻します!』
その日の先生の怒鳴り声は、200m先の体育館まで聞こえたそうだ。