一緒に働き出して二年目の夏だったね。
「俺、入院する事になった…」
「は?どこが悪いん?」「誰にも言わんとってくれる?…実は…ガンなんじゃ」
「は?えっ?」
「でも大丈夫なんよ。ちゃんと治療したら治るし、一回治ったらもう二度とならんけん」
そう言って帰って行ったんだったよね。
アタシは物を知らないから、ガン=死って思ってたんだよ。
どーしよ。一緒に働いてる人が死ぬなんてヤダな…。何て思ってた。
お見舞いも行けなかったよ。病気の姿をパートのオバちゃんに見られるのもイヤだろーと思ったからね。
一ヵ月が経ち、二ヵ月が経ったころ、お店に現われたあなたを見て、アタシは心底ホッとしたよ。
「元気そうじゃん…」
そしたら、まだもうちょっと休むって…
「大丈夫?」
「うん。全然大丈夫。迷惑かけてごめんね。」
「ホンマよ。たくさん休んで大迷惑じゃわ」
「うわぁ〜。そんなん言わんでや」
「ごめんごめん。早く良くなったらいいね」
あ〜このままこの人辞めるんだろーな…。何て思ってた…。