「これほどのエネルギー弾なら…」
ユミナはそう呟いて、虚ろな目をしながら煙が消えてなくなるのを待った。
「…!」
煙が薄れて表れた複数の影を見て、彼女は目を大きく見開いた。
「あ、危なかった…」
ロイは一つ大きく息を吐きながら、安堵の表情を浮かべていた。
ロイだけでなく、ロザラムやリリー、エミリア、ルイス、ミリス、ラトとその他の騎士全員が無傷でその場に立っていた。
砦も爆発前と同じような状態でその場に建っていたが、中にいた兵士達は突然の異変に驚いた表情を見せていた。
「馬鹿な…何故だ!?」
ユミナは倒れた身体を起こしながら、叫んだ。
「ここにいる全員と砦を強力な障壁で覆ったんです。駄目元でしたけど、何とかなりました」
「…何という事だ…!」
悔しそうな顔をしながら、ユミナは拳で地面を叩いた。
「がっ…」
その直後、彼女の口から大量の血が溢れ出た。
「ユミナ姉ちゃん!」
ロイは急いでユミナの元へ行って、彼女に回復魔法をかけようとした。
その瞬間、ユミナの剣がロイの首筋を襲った。
「うわっ!」
ロイは間一髪でその剣を避けると、思わず後退った。「私に近づくな!」
ユミナは剣をロイに向けながら、荒い息を吐いて唸った。