そこはひたすら美しく、そして何もない場所だった。
彼は物には満たされていたのに、いつもどこかむなしかった。
いつも鎖が彼をつないでいた。
ある日、彼は主に"お願い"をしてみることにした。
主は許した。
「いいだろう。しかし忘れるな。お前は私から離れて生きてはいけない。そして、ほんのつかの間の自由を得たことを忘れるな。もう一度言う。お前は必ず、私のもとに帰ってくる。」
彼はそれでもよかった。
鎖は外れ、彼は自由になった。
しかし
彼は後悔したのだ。
彼が見た自由は、希望は
あまりに楽しく、輝かしく、そして切ないほどに
綺麗なものだったから。
彼はそれでも主の元へ戻った。
彼は主のそばでなければ生きられなかった。
しかしつかの間の希望は
彼を蝕んだ。
心はいっそうむなしさを覚え、
永遠の自由を手に入れる方法を知る。
もう、もとの彼のままではいられないけど、自由は手に入る、唯一の方法。
自由は
希望は
綺麗で
残酷だった。
神を殺して、悪魔になった
天使のお話