水無月〜確執〜
水無月の中旬の事です。一ヶ月前にシンさんがサイさんに出会ったと聞いて、先生に頼んで行ってもらった二度目の共同勉強会で向こうの先生方に思い切ってサイさんの事を聞いてみたのですが、どの先生も、
「聞かないで下さい。」
の一点張りで、サイさんの担任の先生に至っては名前を聞くだけで一気に機嫌を損なう程なのです。
しかし私はサイさんに幻滅したり、ましてや嫌いになったりはしません。私にはそうなる道理が…資格が無いからです。いえ、そんな表面的な理由ではなく、唯、サイさんの事を心から愛しているからなのです。彼がどう変わろうと私の心は変わりません。たとえ世界中を敵に廻しても…それがシンさんであっても…私はサイさんの味方です。
私を産み育ててくれたという事実が無ければ私は、間違い無く家出をしているでしょうがそれでも……ッ……。
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