そして後日…
人形協会から、2人の人形生活アドバイザーがハーレス邸を訪れた。
アドバイザーと言っても、エルファと同じ背丈の動く女性人形である。
エルファとの違いは…
色々学んでいる事と、人間と同じように普通に話す事だろう。
2人はさっそく…
人形部屋の中や子どもたちの様子を確かめようとしたが…
部屋の中には入れなかった。
エルファが子どもたち全員を中に入れて、ドアに鍵を掛けてしまったからだ。
ソファに座って…
ツーンと態度を取るエルファ。
スザンヌが話しかける。
「部屋の中を、見せてもらえません?」
すると…
エルファは冷たい表情で、断固拒否の態度。
「イヤ」
「協会からの指示です、ドアを開けなさい」
「イヤ」
「何故、イヤなのですか?」
「イヤダカラ、イヤ」
ジャックが軽蔑な眼差しで、声をかける。
「意地張ってないで、開けろよエルファ」
エルファはカチンと来て…
「ウルサイ! ジャックノ、クズヤローハ、ダマレッ!」
ジャックもカチンと来て…
「オレをクズ野郎呼ばりするたァ、イイ度胸じゃねえかッ!」
立ち上がっているジャック。
すかさず、マルシアはジャックを制止する。
「エルファ、協会の人たちの言う事は、ちゃんと聞きなさい」
「イヤ」
「エルファ!」
「フン!」
マルシアの言う事さえ聞かないエルファ…
まるで、駄々をこねる子供である。
スザンヌが質問する。
「中にいる29人の小さな人形たちは…、アレはいったい何ですか?」
「バカジャナイノ?
ワカリキッタ、クダラナイ、シツモンシテ」
スザンヌ、怒りを押さえながら…
「か、確認です」
「ワタシダケノ、カワイイ、コドモタチニ、キマッテル、デショウ?
ワタシダケノ、スバラシイ、タカラモノヨ」
「なるほどォ。ではアナタ、母親として…子供たちを大切にしているのですネェ」
「モチロンヨォ。マイニチ、タップリト、アイジョウコメテ、カワイガッテイルワ」
ジッとエルファを見つめるスザンヌ…