一緒に布団に入ると一安が私に、腕枕をしてくれた。
そして、小さな声で話し始めた。
「俺とお前の子供だったら、カッコイイし可愛かったよな絶対」
一安が笑顔でそう言った。
「そうだね」
私は嬉しさを隠しながら答えた。
「俺、名前考えたんだ」
一安は笑顔だった。
「もう、赤ちゃん居ないよ」
私は首を傾げながら言った。
「もしも生まれてたらだよ」
「なんて名前?」
「はるき」
「はるき?」
私が聞き返すと、一安は指で漢字を説明した。
【春樹】
「男でも女でも使えるだろ」
空想の話しをする一安は嬉しそうだった。
「多分、男の子だったよ、あゆ妊娠してる時、お腹から【ママ】って聞こえたんだ、男の子の声だった」
私がそう言うと、一安の顔から笑顔が消えた。
一安はそのまま、私を強く抱きしめた。
一安の涙が私の顔に落ちてきた。
私は一安の顔を見ようとした。
でも、一安の抱きしめる力が強くて。
私は一安の胸に耳を当てていた。
「ごめんな」
微かに聞こえた一安の声は震えていた。
その夜、一安の腕の中は、すごく心地良くて、暖かくて、優しかった。
少しも離れたくない、そう思ったあの頃に戻りたいと思った。