すべてが運命なら

春樹  2009-03-29投稿
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一緒に布団に入ると一安が私に、腕枕をしてくれた。

そして、小さな声で話し始めた。

「俺とお前の子供だったら、カッコイイし可愛かったよな絶対」

一安が笑顔でそう言った。

「そうだね」

私は嬉しさを隠しながら答えた。

「俺、名前考えたんだ」

一安は笑顔だった。

「もう、赤ちゃん居ないよ」

私は首を傾げながら言った。

「もしも生まれてたらだよ」

「なんて名前?」

「はるき」

「はるき?」

私が聞き返すと、一安は指で漢字を説明した。

【春樹】

「男でも女でも使えるだろ」

空想の話しをする一安は嬉しそうだった。

「多分、男の子だったよ、あゆ妊娠してる時、お腹から【ママ】って聞こえたんだ、男の子の声だった」

私がそう言うと、一安の顔から笑顔が消えた。

一安はそのまま、私を強く抱きしめた。

一安の涙が私の顔に落ちてきた。

私は一安の顔を見ようとした。

でも、一安の抱きしめる力が強くて。

私は一安の胸に耳を当てていた。

「ごめんな」

微かに聞こえた一安の声は震えていた。

その夜、一安の腕の中は、すごく心地良くて、暖かくて、優しかった。

少しも離れたくない、そう思ったあの頃に戻りたいと思った。



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