【黒木の存在】
まりもとの初でーとの翌日の通勤途中 俺は昨夜のまりもとの約束を思い出していた
そろそろ帰る時間だね
またでーと出来るかな
またでーとしたいね
またでーとしよう
二人とも同じ気持ちだった
そして二人で約束した
「二人とも子供がいるから離婚してすぐに再婚は難しいけど お互いに支え合って助け合って長く付き合おうね。山も谷もあるけど二人で乗り越えて行こうね」
二本の小指を固く絡ませて約束した
俺達二人は 決して他人に知られてはいけない関係になってしまったが こうなる前から まりもと組んで仕事したり話したりする機会も増えたから 今まで通り まりもに接していたしまわりの人間も何も気付いていなかった
だが…黒木だけは薄々感づいていたようだ
黒木は俺の後輩で バツイチだった
黒木が入社したころ 俺は嫁と離婚を前提とした別居中で 同僚達も心配していた
そんな俺に黒木は積極的に近づいて来たが 黒木の下心はすぐに見破った
俺が フェラーリに乗ってた頃に近づいて来た女達と同じだった
その頃の俺の家の財政状況は さすがに外車には乗れないけど 中の上くらいの暮らしは出来ていた
贅沢はできないけど安定していて 離婚寸前の男に
今後の生活が不安なバツイチ女が目を付けたんだ
でも 俺は全く相手にしなかったし 親戚中の説得もあり 別居を解消した
それでも黒木は俺を諦めず何かに付けて俺の家族の状況を聞いてきたり 俺の行動を監視するようになった
そんな状態の黒木だから
まりもに嫉妬して何しでかすかわからないから まりもには黒木の事を話した
郊外へドライブに行った帰りに立ち寄った二人できりの部屋で話したからだろうか…
「たまには黒木さんの相手してあげたらあ〜そうしたら黒木さん喜んでご機嫌さんになるかもよ〜」と返事したまりもの目は何とも言えない強い光を放っていた
その光は 俺の理性を破壊し 野性を目覚めさせた
まりもは何度も俺の名前を呼び続けていた
可愛い猫のような声で
甘えるような声で