奈央と出会えたから。<341>

麻呂  2009-03-31投稿
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* * * * * *

帰り道――



あたしは、隣に立つ聖人に、さりげなく聞いてみた。



『ねぇ聖人。さっきのサチヨの話だケド‥‥ホントかな‥‥?!』



『あぁ。らしいゼ。
さっき成沢から全てを聞いた。

秋田谷と付き合っている男の名前は、K中3年 森宮ヒロキ。

ちなみに成沢がクサの栽培を始めたのも、森宮と付き合い始めてからだそうだ。』



『じ‥じゃあ、その森宮ってヒトが遊んでて、2股も3股も掛けてるって話も本当だってコト?!』



『おぅ。森宮は常に不特定多数の女と遊んでる様な男だ。

見た目はマジメだし、成績も良いと言うヤツだから、先公からは気に入られるタイプらしいが、裏では、ひでぇ悪さをしている様な汚ねぇヤツよ。』



『だ‥だってユカ‥‥あんなに嬉しそうだったのに。カレシが出来たって、すごく喜んでて‥‥。

したコトも無いメイクして‥‥。

渋川に目をつけられながらも、髪染めたり‥‥‥。』



言葉がうまく出てこなかった。



頭の中が整理つく前に、



怒りの感情が、先へ先へと口から飛び出して行こうとする。


これ以上話そうとすると、



涙が溢れ出そうになる。





『俺が成沢から確認出来たコトは、それだけだ。

成沢の言うコトが全て真実なら、成沢も森宮に遊ばれ、利用された被害者だと言うコトだ。

それより、秋田谷に早く目を覚まさせねぇとな。

困ったゼ。アイツ、舞い上がってるし、俺らの言うコト、素直に聞くタイプじゃねぇからな。』



カチッ――



煙草に火を点ける聖人の横顔を見て、



あたしも同感だって思った。



『ユカ‥‥結構気が強いし、カレシに夢中だから‥‥。

あたし達の言うコト、信用してくれるといいケド‥‥。』



ポンッ――



頭を優しく撫でられた――



『んな、シケた面すんなって!!

ま、俺よか、奈央‥オマエの言うコトなら、アイツは素直に聞くんじゃねーの?!』



いつもの笑顔でそう言われたら、



何だか心が落ち着いた。

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