文月〜惜別〜
文月の下旬の事だった。暑い…何もする気にならない…夏休みの課題?とっくに燃やして棄てたさ…もう何もかもどうでも良いのだから、何もしないだけなのだよ…。
そう言えば最近変な男が僕の家に来るのだ。初めて会ったのは皐月の上旬頃だったと思うが、その時簡単な話をしただけなのに今でもしつこく話をしに来るのだ。何時理由を聞いても「何となく」としか答えないのは正直腹が立つが、暇を潰すと考えればそこまで立腹する事では無いと思えてきた。話のレベルも合うし、非常に僕に似た考えを持つ男で、まるで自分自身と話しているような不思議な感覚を味わえるのだ。
しかしこの日、その男と別れる事件が起こった。自分の中で愚痴をこぼすようにその男にセレナの事を話した途端にその男は怒り出したのだ。一刻程訳の分からない事を叫んだ後家を出て行った。まさか、あの男がセレナの事を知っていたなんて…。