−2486年、地球は増えすぎた人々によって埋め尽くされていた。
貧しい人々は、食事も摂れずに毎日のように餓死していった。
それでも人は増え続けていた。
そもそもの原因は2301年に始動した「クローン人間計画」にあった。
元々はクローン達を奴隷にすればより豊かになる予定だったのだが増えすぎて逆影響を及ぼしたのが現状だ。
そこで国連は増えすぎたクローンを根絶やしにする計画を実行すると同時に、各国の人口を百人にするというとんでもない計画を・・・
「おい!そこ何してる!」
数学の教師の柴崎(しばさき)の甲高い声が教室に響く。
「いえ、何も?」
あわてて原稿用紙を隠す義春(よしはる)。
「また小説でも書いてたんだろ後で職員室にこい!」
クラスメイトの笑い声、ドンマイという慰めの声が聞こえるここ2168年の教室。
昼休み。
「マジ最悪だぜ柴崎のヤロー。」
悪態をつく義春。
「今回は何を書いてたんだ?」
と義春の友人の朝紀(ともき)が言った。
「今はクローンを作ることは法律で禁止されてるだろ。だから、もしクローンが禁止されていない世界だったらどうなっていたかを書いていたんだ。」
と答える義春。
空は穏やかな秋晴れが広がっている。