気付けば私は15歳。
いつからか、家の中にはあの女の趣味の悪い荷物が増えていた。
「恵理ちゃんご飯よ。」
人の名前を気安く呼ばないで欲しい。
あの女は、私達親子のご飯を作り、洗濯をし、掃除をし、たまに図々しく母親気取りな態度を取る。
どうでもいい話しだが、父親とこの女は結婚したらしい。
父親は、この女がきてから随分と丸くなった。
人間とは何と愚かな動物なのだろう…子供ながらにそう思った。
父親は母親の事を全て忘れてしまったのだろうか。暖かくて幸せだったあの日々を。
家の中に児玉するあの女と父親の笑い声に、最近の私は苛立ちを覚える。
それにも増して、私を置いて出て行ったっきり連絡もよこさない母親に憎しみを抱いていた。
私はきっと誰からも必要とされていないんだ。
ふつふつと湧き上がる怒りや悲しみや絶望感は、私を深い闇の世界へと引きづり込もうとしていた。
…つづく…