春、入学式の今日は人でごった返す。
初めての制服が少し嬉しくて恥ずかしい。
見慣れない校舎に緊張。
大きな桜が印象的な門を潜り抜けてクラス発表を見に行く。
「知夏っ」
声をかけてくれたのは友達の瑞木理沙。幼稚園からの仲良し。
「理沙、もうクラスみた?」
「うん、残念ながら知夏とは別。でも知夏、桜と一緒だったよ」
私は不安な気持ちが少し和らいだ。桜というのも友達で同じ小学校出身だ。
私達が入学する中学は地域3校の小学校から編成。
同じ小学校の友達がいるのは助かる。
「理沙は誰と一緒だった?」
「私は…」
「知夏、理沙」
向こうから平井桜が笑顔で走ってきた。
「なんか各教室に集まるらしいよ」
私達は校舎に急いだ。
「後でね」
教室の前で理沙と別れた。
理沙は一組、私達は四組。一組を通り過ぎようとすると扉から出てきた人にぶつかった。
「前田?」
名前を呼ばれて顔を挙げると中野雅之が驚いていた。
学ラン姿かっこいい…
「中野は何組だっけ?」
「一組、瑞木と一緒」
「そう…なんだ。私は…」
「四組だろ?久遠がいる」
「だっけ…じゃ…」
「おん」
中野は元好きな人。
まだぎこちない二人。