「何、勝手な事するのよ!」美穂は桃子とひと悶着あったが、遼一になだめられ落ち着いた。
「まぁ気晴らしのドライブとでも思ってれば、いいじゃなぁい。ハローワークみたいな所ばっかじゃつまんないしぃ」
「あのねぇ、映画みたいにスターに会えるわけじゃないのよ。遼一さんも何か言って下さいよ」
美穂はどさくさ紛れに彼を名前で呼んでしまって赤くなった。
遼一は気付かなかったが、桃子にはバレバレだった。
しかし、奇しくも、美穂が言った事とは反対にギャラクシーラリーには芸能人がたくさん参加する事を、三人はまだ知らない。
「まぁ、仕方ない。君達は責任持って俺が無事にゴールさせよう。あ、奥さんに話さなきゃ」
とにかく、遼一と友達になれて良かった、と思う美穂だった。
「カンちゃん、私に感謝してよね」桃子が意味ありげに微笑みを浮かべる。
この中年男は、私が虜にしてあげる。そして、捨ててやるわ。貴女の前でね。
桃子の魔性がうずいてきた。