｢クローンの世界ねぇ｡｣
横から小夜(さよ)が話しかけてきた。
｢なんだよ､悪いかよ｡｣
作品を馬鹿にされたように思い不機嫌になる義春。
｢別に悪くはないけど、そんな発想よく思いつくなって｡｣
小夜は少しバツが悪そうに言った。
｢要するに凄い頑張ってるねってことだ｡｣
険悪な雰囲気を何とかしようと話しをこじつける朝紀。
｢そういうことだったのか｡よーし俄然やる気が出てきたぞ。ありがとう小夜。｣あまりに単純な義春の発言に戸惑う小夜。
｢わ、分かればいいのよ｡｣朝紀の視線が何を言っているか分かったのか話しを合わせる小夜。
｢やる気が出てきたんなら明日書いて来てくれよ｡｣
さらに焚き付ける朝紀。
｢おう！任しとけ!｣
単純な義春はやはり承諾する｡
｢まぁ帰れたらの話だけどね｡｣
悪魔のような小夜の一言で再びしずむ義春。
-夕方
真紅に染まった空を見ながら義春は一人で帰っていた。空には雲一つない。
｢くそー柴崎のヤローなにが明日までに反省文かけだ嫌な奴だぜまったく｡ってなんだあいつ｡｣
夕日ごしに義春は一人のピエロを見た。夕焼けに染まった空は暗雲が立ち込め始めていた。
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