『寂しいね』
貴方が言うから
『そうですね』
とだけ答えた
『離れたら話す人いなくなるね』
貴方は寂しそうに呟いた
小さな声を聞き逃さなかった
きっと嘘ではない
貴方の声に表情にそれを本心を知った
『ホントそうですね』
私まで寂しさが感染する
『寂しくなったら内線とか社内メール使って下さい』
精一杯の冗談に『そうだね』と貴方が笑う
切ないやり取り
貴方が私の課に来てからわずか半年
隣の席になってから私の想いは急激に燃え上がり
その分傷も増えた
だけど楽しかったから
沢山笑顔をくれたから
楽しくなかった仕事もどうにかやれたから
貴方のお陰で毎日が輝いたから
思い返すと泣きそうになったから
せめて冗談を言った
自分の気持ちをごまかす為に
離れても接点が無くなる訳ではない
なのにどうして二人の交わす言葉がこんなにも重くのしかかるのだろう
隣にいたからこうして飲みにも誘ってくれた
それがもう無くなってしまう様な気がした
これが最後に思えて辛くなった
『また誘って下さい』
そう言えたとしても
それに頷いてくれたとしても多分実現は難しい
側にいたから色んな話も出来た
だから此処に私はいる
結局私は貴方の隣にいたかった
週が明ければ貴方の隣にはいられない
今日この日が本当の宝物
こんなにも愛おしく
こんなにも今までの貴方の隣が大切な物だったとは
貴方が『寂しい』なんて言うから
少し貴方の本音を垣間見た気がしたから
だからまた私は狂わせられる
言われないよりも言われた方が良い
私の努力も報われた気がしたから
どれだけの想いかは分からない
でも聞けたから良かった
貴方の寂しそうな横顔を見れたから良かった
例え嘘でもありがとう